モヤモヤ感

沈黙(サイレンス)映画。神は沈黙して何もしなかったのではなく、一緒に苦しんでいた。尾形イッセー演じる「井上筑前守」とロトリゴ(主人公の宣教師)との心理戦が興味深い。単なる拷問ではなく、キリスト教の教義、他の人を助けるため、棄教した尊敬する宣教師など、あらゆる「ひと・もの・こと」を駆使し、やさしく、丁寧に語りかける。何が正しいか(真実)というより、自身の中にある真実を試されながら、「いまそこで」、何かを選択することを迫られる苦悩の連続。モヤモヤ感が残る。是枝監督の映画もハッピーエンドではなく、モヤモヤを感じることが多い。「三番目の殺人」、司法という場において、死刑が宣告されるが、何が真実なのか、誰が犯人なのか。「万引き家族」では、真の家族とは何かを考えさせられる。