グリーンブック

 令和元年5月1日「グリーンブック」。一般的には、黒人ピアニストと彼に雇われた白人の用心棒兼運転手が、黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を手に人種差別が残るアメリカ南部を巡る人間ドラマ。この映画を別な視点で見ると、黒人でありながら、ピアニストで博士号を持つエリートとイタリア移民で無教養、離婚し兄弟とも疎遠の孤立と親戚が集い合う家族愛、理性とごまかしなど、相反する価値観を持つ二人が、うち解け合う人間ドラマ。当時の北部のアメリカといえど黒人が白人の世界に入り込むためには、一目置かれるような博士号など学歴や名声が必要であったがそれが仇となり兄弟や同じ黒人との間に生まれた疎外感。英語もうまく話せない書けないイタリア移民であれば、嘘ではなくごまかしでその場その場を乗り切り、親戚が助け合い、つながり合ってきたというのが生きるすべ、というそれぞれの生き様もかいま見れる。