母性

清佳(永野芽郁)と彼女の母親・ルミ子(戸田恵梨香)の愛の葛藤をサスペンスタッチで描いた映画。ポイントは、ルミ子の中に母性は芽生えておらず、彼女の中には、母(大地真央) に対する執着心だけがある。自分の娘でさえ、母を喜ばせるための手段としか考えていない。また、この映画では、同じ場面を、娘と母親の違った視点で見せている(例:抱きしめたのか首を絞めていたのか)。母性を考えるきっかけになった。原作者の湊かなえ(新潮社)では「時は流れる、流れるからこそ、母親への思いも変化する。それでも愛を求めようとするのが娘であり、自分が求めたものを我が子に捧げたいと思うのが、母性ではないだろうか」を母性と言っている。これは、母性だけに特化しているが、子供が親に愛されたいとか、人に愛されたいという承認欲求は誰にもあるので、母性にだけ焦点化するのもいかがなものかという感じもする。